リーチだと!?まだ2巡目だぞ…
そう思ったのを見透かしたのか、相手は私に一瞥をくれるとニヤリとした。
くそ、こんなのわかるわけがない。
脂汗がじっとりと出てくるのがわかる。
下家を見るとさっきの振り込みでのショックからか、目が虚ろになっていた。
なにがコンビ打ちだ…
全然役に立ってないじゃないか。
やはり麻雀は1人の勝負なのだ。
勝てば官軍。
ここで負けるわけにはいかない。
借金を無くして新たな人生を歩むのだ。
そのためにも、この狂った麻雀に片をつけよう。
私の手だって遠くはない。
これでイーシャンテンだ。
筋ではない。
いける!
それに、このままならどうせ下家が振り込むだろう。
彼には悪いが誘ってきたのは、こいつなのだ。
私は、不要牌を持つとゆっくりと卓に置いた。
ロン
上家が静かに呟く
リーチ一発ドラドラド…
意識が遠退いていく。
その意識を戻したのが対面の一言だった。
ここはダブロンありだったよな。
こっちもロンだ。
なっ!
しまった。
こいつらもコンビだったのか。
慌てて下家を見るとなぜか彼も笑っていた。
そして、ゆっくりと牌を倒しながら一言呟く。
ロン
私は、すべてを理解して意識を失った。